NTS−1000

取扱説明書

株式会社 西無線研究所
【はじめに】
この度はNTSー1000をお買いあげいただきまして、まことにありがとうございます。
本機は西無線研究所(株)が、業務用無線機設計製造の技術を生かしながら、アマチュア無線用として、長期に渡りご使用されることを考慮して設計、製造致
しました。ご使用の前に、必ず本書をご熟読の上、本機の特徴を十分理解され、末永くご愛用くださいますようお願い申しあげます。
なお本無線機を使用するには、郵政省のアマチュア無線局の免許が必要です。法令を守り、正しく運用してください。

付属品
・DC電源コード ・SP用プラグ×1 ・予備ヒューズ3A×1
・ACC用8Pコネクター
(マイクコネクターと同一です。いづれかにご使用ください)
・取り扱い説明書(本書) ・保証書

【本機の特徴】
A今、音質に興味のある方に注目されている「PSN」によるSSB、CW変復 調方式を採用した事により、低音から高音まで歪みの少ないSSB通信が実現 しました。
B特殊な部品を極力採用せず、市販部品を最大限に使用することにより、長期に 渡る保守が可能となりました。

あなたのアイデアで内部を改良する楽しみもある無線機です。
C本体は(A)コントロールユニット(B)RFユニット(C)メインユニット
と3部分の構成になっています。
(B)+(C)と,(A)コントロールユニット(パネル部分)が分離出来る 構造ですので(A)コントロール部を机の上、他は棚の上、といった使い方が 出来ます。
D周波数は4桁のLED表示器による表示、又、Sメーター、RF出力メーター はLED6個による(Sは1,3,5,7,9,9+)表示となっています。
EVFOは安定なPLL方式を採用し、100Hzと10KHzステップの切り替え 式です。
SSBの確実なチューニングのため、100Hzステップ間をFINEチューニ ングにより連続可変できます。
FRFユニットがプラグイン方式となっており、今後開発されるバンド別RFユ
ニット(例えばRFユニット21MHz)と差し替えれば、21MHzモノバンド トランシーバーとなります。
Gトランスバーター端子の採用により、50MHza144MHz,430MHzのトラ ンスバーターが接続可能です。(開発予定)
【各部の名称と機能】
前面パネル

A TX/RX 切換スイッチ
B FM,SSB/CW 切換スイッチ
C SSB,CW 切換スイッチ
DSPジャック
EAGC F/S 切換スイッチ
FNB/SQ ON OFFスイッチ
GMICコネクター
Hバンド切換スイッチ
IMICゲインつまみ
JRFゲインつまみ
KAFゲインつまみ
LRITつまみ
M10KHz 100Hz 切換スイッチ
Nメインダイヤルつまみ
OFINEつまみ
Pディスプレイ
背面パネル(1)

AANTコネクター(M型)
BトランスバーターRF出力端子(ピンジャック)
CACCコネクター(8P)
Dトランスバーターリレー端子(ピンジャック)
EDC電源コネクター(4P)
FPOWER(電源)スイッチ

背面パネル(2)

@コントロールケーブル用コネクター
【各部の説明】

前面パネル
ATX,RX 切換スイッチ

送信と受信を切換えるスイッチです。レバーを上にすると送信、下にする と受信となります。送信時はディスプレイ部の赤いLEDが点灯します。

BFM,SSB/CW 切換スイッチ

FM時はレバーを上にし、SSB/CWの時はレバーを下にします。

CSSB,CW 切換スイッチ

BでSSB/CWにした場合は、本スイッチでSSB,CWを選択します。
FMにした場合は、どちらでも良いです。

DSPジャック

外部スピーカーを接続するジャックです。ヘッドフォンも接続出来ます。
(音量を絞る必要があります。)
内蔵のスピーカーは、小型のため、比較的高音が出ます。
自宅などでご使用の場合は、低域まで動作するスピーカーを使用されると良 いです。一般に直径の大きいものほど低域まで動作します。カーステレオの スピーカー等、ご自分の感じの良いものを色々とためして下さい。

EAGC/Fスイッチ

AGC回路の時定数を切換えるスイッチです。レバーを上げるとAGCの時 定数が短く(FAST)下げると長く(SLOW)なります。

FNBスイッチ

ノイズブランカー回路をON/OFFするスイッチです。レバーを上げると ONとなり、下げるとOFFとなります。
BのスイッチがFMの時、本スイッチはSQL(スケルチ)スイッチとなり ます。
レバーを上げるとスケルチが閉じ、信号が入った時スピーカーから交信が聞 こえます。
レバーを下げるとスケルチが開放となり「ザー」という音がスピーカーから 聞こえます。
GMIC(マイクロフォン)コネクター
マイクロフォンを接続するコネクターです。
本機にはマイクロフォンは付属しておりませんので、各自、お手持ちのマイ
クロフォンをご利用下さい。
一般に、ハンドマイクよりスタンド型マイクの方が良い音がします。
又、無線機専用マイクより、オーディオ用マイクの方が良い音がします。
マイクにより音質は変化しますので、色々と実験して下さい。

(8Pコネクターのジャックを
正面から見たピン番号)
A マイク
E PTT FG グランド

Aにはコンデンサマイク用直流電圧が出ていますので、ダイナミックマイク 等をご使用の場合は、コンデンサーで直流をカットして接続して下さい。

Hバンド切換スイッチ

−50M
1MHz毎の切換えとなっています。
C.50〜51MHz (SSB,CW)
D.51〜52MHz (FM)
E.52〜53MHz (52.0〜52.5 SSB,CW)
(52.5〜52.7 FM)
(52.7〜53 SSB,CW,FM)
F.53〜54MHz (SSB,CW,FM)
−3.5M
A.3.500〜3.575Mz (SSB,CW)

IMICゲインつまみ

マイクロフォンからの音声入力レベルを調整するツマミです。
時計方向に回すほど音声入力レベルが高くなり、逆に回すと低くなります
JRFゲインつまみ
受信のRF(高周波段)のゲインを調整するつまみです。
時計方向に回すと感度が高くなります。逆に回すと低くなります。
スーパーローカル局等の強力な信号で弱い信号が感度抑圧を受ける場合, RFゲインを下げると、軽減される場合があります。
KAFゲインつまみ
受信の音量を調整するつまみです。
時計方向に回すと音が大きくなります。
スピーカーやヘッドフォンからの音量を聞きやすい音量に調整して下さい。
LRITつまみ
受信周波数のみ微調整することが出来ます。
可変範囲は約±250Hzです。
通常はつまみのマークを12時の位置にしておいて下さい。
M10K、100Hz切換スイッチ
メインダイヤルの1ステップあたりの周波数変化量を設定するスイッチ
です。
大きく周波数を変化させる場合は10KHzで行い、微調整は100Hzに して行います。
Nメインダイヤルつまみ
周波数の設定を行うダイヤルです。
Mの切換スイッチと併用して目的の周波数に設定します。
OFINEつまみ
送信、受信両方の周波数を同時に微調整するつまみです。
Nのメインダイヤルで相手局に周波数を合わせた場合、最小ステップが 100Hzですので、ゼロインされていない場合があります。
その時、このつまみを調整することにより完全なゼロインが可能となります。
Pディスプレイ
a緑5個、橙1個、合計6個のLEDで受信入力信号の強さを表示します。 Sは「1、3、5、7、9、9+」です。
また、送信時はRFメーターとして送信出力を表示します。
音声入力のピークで時々橙色のLEDが点灯するぐらいが適正入力です。
b赤いLEDは送信状態のとき点灯します。
cLED数字表示器で周波数を表示します。
(100KHz〜100Hz間で4桁表示、000.0〜999.9)
例えば、Hのバンド切換スイッチが「C」の位置にある状態で
「250.5」と表示されれば、50.250.5MHzとなります。
3.5MHzの場合
なお、Hのバンド切換スイッチが「A」の位置にある状態で
「560.5」と表示されれば、3.560.5MHzとなります。
背面パネル(1)

AANTコネクタ(M型)

アンテナを接続するコネクターです。
接続にはM型同軸コネクターを使用し、50Ω系の同軸ケーブル、アンテナ に接続して下さい。
Bトランスバーター用RF出力端子(ピンジャック)
トランスバーターを使用時、送信用のRF出力を取り出す端子です。
接続にはピンプラグを使用し、50Ω系の細い(例:1.5D2V等)で接 続して下さい。出力は約50mWです。
CACCコネクタ
接続は下記の通りです。誤った接続は本機ならびに外部機器の故障の原因に
なりますので十分確認してから接続して下さい。

(8Pコネクターのジャックを
正面から見たピン番号)

名 称 内 容 仕 様
@R5V 本機が受信時のみ+5V 出力電圧 5V
出力電流 20mA以
AT5V
.1
送信時のみ+5V 出力電圧 5V
出力電流 20mA以
BALC
.2
外部からのALC入力
ECWキー CW時この端子とGND間に
キーを接続します。
FSEND GNDと接続すると
送信状態になります。
GGND アース端子です。
.1.例えば外部リニアAMPを使用時は下図のようなTRスイッチが必要と なります。
リニアアンプのT/R端子をGNDに接続することにより送信になるタ イプ用
外部RLへ
1S1588等 10K
ACCコネクターA 2SD245等(外部RLの電流に耐えるもの)
0.01u

.2.リニアAMP等を接続される場合はお問い合わせ下さい。

Dトランスバーター端子(ピンジャック)

本端子に、+5Vを印加しますと、トランスバーター入出力状態となります。 送信RF出力はAのピンジャック、受信入力は@ANTコネクターとなりま す。
DDC電源コネクター
DC13.8Vの定電圧電源に接続して下さい。+、−を十分ご確認下さい。
FPOWER、電源スイッチ
全ての電源のメインスイッチです。
本機を水平な机等に正しくセットした場合、スイッチのレバーを上側にする とON、下側にするとOFFとなります。

背面パネル(2)

Aコントロールケーブル用コネクター

コントロールユニットとの接続用コネクターです。もしコネクターをはずさ れた場合は十分確認の上、間違いないように接続して下さい。

.電源を接続したままコネクターを抜き差しすることは機器をいためますので 禁止します。
【設置について】
・直射日光のあたる所、高温又は多湿になる所、振動が多い所への設置は避け て下さい。
・テレビ、ラジオに接近して設置しますと、お互いに妨害を生じる場合が有り ますので、離して使用して下さい。
・移動運用などで、本体とアンテナが接近している場合、まわり込み現象(音 がにごる等)が生じる場合がありますので、本体とアンテナの距離を離して 下さい。
・本体と安定化電源装置を接近して設置しますと「ブーン」というハム音が混 入することがありますので適度に離して設置して下さい。

【操作方法】

基本状態に設置する。

前面パネル
スイッチボリュウム類の設定
ATX/RXスイッチ RX(下側)
BFM、SSB/CWスイッチ SSB/CW(下側)
CSSB/CW切換スイッチ SSB(上側)
EAGCスイッチ S側(下側)
FNBスイッチ OFF(下側)
Hバンド切換 C(50〜51MHzの場合)
A(3.5MHzの場合)
IMIC 12時方向
JRF 時計方向にまわし切る
KAF 反時計方向にまわし切る
LRIT 12時の位置にする
M10K、100Hzスイッチ 10KHz(上側)
OFINE 任意の位置で良い

背面パネル
電源スイッチ OFFを確認(レバーが下側になっている)
上記を確認の上、アンテナ及び安定化電源と接続します。
SSBの受信

APOWER(電源)スイッチをONにします。

B4桁のLED数字表示器が「000.0」と表示します。

CRITつまみを12時の位置にしておきます。

Dメインダイヤルで目的の信号がよく聞こえるように調整します。

10KHz、100Hz切換スイッチを活用して、微調整します。
さらに、FINEつまみで微調整しますと、ゼロイン出来ます。

EAFゲインつまみで聞きやすい音量にします。

F入力信号が強すぎる場合、RFゲインつまみを適量、反時計方向に回すと良い です。

G受信時にパルス性の雑音(例:バイク等のパラパラというノイズ)が多い時は、 NBスイッチをONにします。

この場合、近くに強力な局が出ていますと、NBが誤動作してうまく聞こえな い場合があります。

SSBの送信

本機にはマイクロフォンは付属しておりませんので、お持ちのマイクを活用して接続して下さい。(マイクロフォンの接続方法等が不明な方はお問い合わせ下さい。)

ATX,RXスイッチをTXにするか、マクロフォンのPTTスイッチをONに するとTX表示LED(赤色)が点灯します。

Bマイクロフォンに向かって普通の声の大きさで話します。

この時、出力表示LEDの右端の橙色のLEDが、声のピークで時々、点灯す るぐらいが適度な音量です。マイクゲインつまみで調整して下さい。
本機は高音質を特徴としていますので、マイクコンプレッサー等は使用されな い方が自然な音質で送信できます。
他に無線機をお持ちであれば、ご自分の電波をモニターされると変調の適否が 判断できてFBです。
CWの受信

APOWER(電源)スイッチをONにします。

BSSB,CW切換スイッチはCW(下側へ)

CAGC/F切換スイッチはF(下側へ)

Dメインダイヤルで目的の信号が良く聞こえるように調整します。

10KHz、100Hz切換スイッチを活用して微調整します。
さらにFINEつまみで微調整すると良いです。
RITつまみを12時の位置にして、受信CW信号とサイドトーンの音が一致 するようにメインダイヤルとFINEつまみで微調整しますと相手局とゼロイ ン出来ます。

CWの送信

A電鍵を図のように接続します。(背面パネルの8P ACCコネクター)

Bそのまま電鍵を押すと、セミブレークインとなり、スピーカーからモニター音

が聞こえます。 (キーを押すと送信、離すと受信)
又、TX,RX切換スイッチをTXにすることにより送信することも出来ます。
送信から受信への復帰時間は、お好みによりメインユニット内のVRで調整出 来ます。
受信状態でもキーイングするとモニター音は聞こえます。
FMの受信(50MHzユニット装着時のみ)

法律で定められた電波利用区分に従い、
Aバンド切換スイッチを[D]にします。(51MHz〜52MHz)
BFM,SSB/CW切換スイッチをFMにします。
(SSB,CW切換スイッチはどちらでも良いです。)
CNBスイッチがスケルチスイッチとなりますので、レバーを上側にするとスケ ルチが閉じ待受受信状態になります。下側にすると、スケルチが開放となり、 スピーカーからザーという音が聞こえます。
Dメインダイヤルで目的の信号が良く聞こえるように調整します。
10KHz,100Hz切換スイッチを活用して、1KHz,100Hz台を 「0」にしてから、切換スイッチを10KHzにしておくと、メインダイヤル 1クリック当たり10KHzでチューニング出来て便利です。

FMの送信(50MHzユニット装着時のみ)

A受信状態の後、TX,RXスイッチをTXにするか、マイクロフォンのPTT スイッチをONにするとTX表示LED(赤色)が点灯します。
B出力表示LED(緑5コ、橙1コ)が出力に応じ点灯します。

SSBと異なり、音声の大小で出力表示LEDの点灯個数は変化しません。
Cマイクロフォンに向かって普通の声の大きさで話します。

【調整について】

本機は厳重な管理のもとで、技術者により調整されておりますので、本書で明示された部分以外のボリウム、トリマー等は、なるべく触れないようにして下さい。
本取扱説明書は、一般的事項を記載していますので、本機をご購入後、さらに深く、技術的な事項をお知りになりたい方がございましたら、シリアルNoご記入の上、お手紙又はFAXでお問い合せ下さい。(お電話はご遠慮下さい。) なお、経年変化等で調整が必要になった場合は、当社で有償で調整させて頂きます。又、ご自分でメンテナンスをやってみようと思われる方には、ご希望によりその方法をお知らせいたします。
【次の症状は故障ではありません】

Aメインダイヤルの回転がクリックの途中で止まっている場合に10KHz,

100Hz切換SWを操作しますと、表示周波数が変化する場合があります。
BPOWER(電源)スイッチを初めてONにした場合は[000.0」と表示 します。又、ある周波数を運用してから電源スイッチをOFFとし、数秒以内 に再度電源スイッチをONにすると、前の周波数を表示しますが、それ以上の 時間がたちますと[000.0」と表示します。
C内部ノイズを受信する周波数がありますが、送信には支障ありません。

【ご使用上の注意】

1.ファイナル部は効率の良い設計になっていますが、長時間FMで送信し続け ますと発熱し、ケース背面が熱くなることがありますのでご注意下さい。
2.本機は仕様でも明示しましたようにスプリアスは電波法を十分満足していま すが、リグ、アンテナの設置条件によりましては、電波障害が発生する場合が あります。

もし運用中電波障害が発生した場合は、直ちに運用を中止して原因を確かめた 上で対策をして下さい。

・ブロックダイアグラム

別紙

・送信系統図

別紙
【仕様】

周波数範囲 50.000MHz〜54.000MHz(送受共)

(50MHzRFユニットを装着時)
3.500MHz〜3.575MHz(送受共)
(3.5MHzRFユニットを装着時)

電波型式 SSB(USB),CW,FM

周波数分解能 PLL式100Hzステップ

(FINEチューニングにより100Hz間を連続可変)

電源電圧 13.8V ±15%

消費電流 13.8V時 受信無信号 0.5A以内

送信最大 3.0A以内

外形寸法(突起部除く) A一体化した時

170W×81H×310Dmm
Bコントロール部を分離した時

本体 165W×79H×200D

コントロール部 170W×81H×70D

送信部 SSB発生方式 PSN方式

サイドバンドサプレッション 40dB以上
キャリアサプレッション 40dB以上
送信出力 10W
推奨マイクインピーダンス 600〜10K
スプリアス発射強度 −60dB以下(50MHz)

−40dB以下(3.5MHz)

受信部 中間周波数 6.4MHz(シングルスーパー)

受信感度 SSB.CW,−10dBμ SN10dB以上

FM,−10dBμ(12dBSINAD)

低周波数出力 0.5W以上(8Ω負荷 10%ひずみ時)
RIT可変範囲 約±200Hz

なお仕様及びデザイン等は改良のため予告なく変更する場合があります。
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